電荷、スピン、軌道、格子といった複数の自由度が複雑に絡み合った物質は、技術的応用の可能性が高い為、精度の良い理論的物性予測が重要である。本研究では、まず、3つの縮退した軌道を有するSrVO3が、同一サイトの異なる軌道間に働く交換相互作用によりバンドの縮退が解けることを指摘し、次元変化に伴う金属ー絶縁体転移の機構も明らかにした。 次に、格子を非断熱的、量子力学的に記述する手法を開発し、ポリマーの電子状態について研究した。低次元導電性ポリマーの多くは、金属状態における格子構造が不明なままであった。本研究では。状態密度の波数依存性から、格子歪を伴った勤続状態の可能性を指摘した。
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