研究課題/領域番号 |
23560292
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
M・M SVININ 九州大学, 国際研究センター, 教授 (90274125)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | (1)モーションプランニング / 人間らしい動作 / 最適制御 / 拘束運動 / 人間機械システム / 非ホロノミックなシステム / バーチャルリアリティ / ハプティックインターフェイス |
研究概要 |
本研究では人間らしいリーチング運動を表現する数学モデルを構築する。先ずは人間上肢動作の数学モデルを確率的な定式化により構築した。具体的には確率的要素を仮定したうえで動作生成のための数理モデルを作成し、これを変分問題として扱うことで一種の最適制御問題として動作軌道を 求めた。さらに運動解析に関しては、通常と異なった動的環境に対する人間の運動技能の形成を調べるため、高自由度柔軟物体の移動を伴うリーチング運動の解析を行った。柔軟物体を操る場合のヒトの腕の運動軌道を予測するために、手先加速度の運動時間区間にわたる二乗積分を最小化する一般的なモデルを考えた。柔軟物体操作におけるリーチング運動では、特に、高度に動的なタスクを実行するときに運動開始時に手先加速度のジャンプが観測されるが、これを従来から用いられている境界条件を課すことで再現することは困難であることを示した。この加速度のジャンプを説明するため、本研究では自然境界条件の概念を用いて問題を最定式化することにより、運動の予測精度を向上させることができることを明らかにした。次に、本研究の枠組みで、非ホロノミックシステムにおけるスムーズな動作生成の解析を行いました。非ホロノミック拘束の下での巧みな運動を理解するために、平面上に置かれた球の回転を利用した移動運動で、接触領域に制限がある場合についての運動計画に対して動力学的な解析を行った。提案した計画アルゴリズムは最適制御を用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに得られた研究結果はロボティクス、ハプティックインターフェイス、最適制御の分野におけるいくつかの高水準な国内外の学会において発表されました。プレゼンテーションにおいては多くの前向きな意見とフィードバックが得られました。 研究は滞りなく計画通りに進んでおります。
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今後の研究の推進方策 |
実験装置とソフトウエアの開発と並行して,拘束運動と最適制御の研究も同時に進める予定である。この段階では,以下に述べる問題について問題提起し,検討していく予定である。一つめの問題は、リーチング運動から周期的な運動までをカバーする最適化規範の一般化。これまでのところ、この問題について取り扱った研究の文献は見あたらず、未解決の問題であり、明らかにすべき重要な問題である.これらは共通の数理的な基礎に基づいていると考えられる。二つめの問題は、ロボティクスの文献において、機械システムにおける非拘束運動の自然な運動の定義はいくつか散見できるが、運動制御に用いられている最適規範との関係は明確でない。また拘束多様体における運動においてどのように一般化されるかも未知である。三つめの問題は、人間のスキルの形成とロボットへの応用である。本研究で取り扱う規範は,人間のスキルの概念を数理的に表現している。そこで、これらの人間の拘束運動の基本原理を、いかにロボットに伝達することができるかを示すために、人間のような運動を生成するロボットの開発と、実験による評価検討を行う予定である。この目的のため、曲面拘束を用いたロボットシステムの最適な運動のシミュレーションと実験も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究において最適規範によって計算される計算結果と実験装置の構成は重要となる。実験を行うためにコンピュータによって制御されるロボットを製作する予定である。ロボットを作るためには様々な部品(モーターとセンサーとコンピュータを含めて)購入するつもりである。次に、本研究の枠組みで、異なる最適規範のもとでの最適制御問題によって軌道が得られる。最適軌道の計算を行うためにソフトウエアの開発が必要である。このソフトウエアを作るために特別なツールボックスを購入するつもりである。なお、前年度の繰り越し分は、実験装置の製作(ハードウェア・ソフトウェア)に充てる。
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