研究課題
胃癌発生に関して、胃癌多発地域のメインルートとして考えられているatrophy-metaplasia-cancer sequenceの過程でのエピジェネティックな現象の一つであるDNAメチル化異常に着目し、検討を行った。非がん部である胃粘膜DNAのメチル化の変化(蓄積)を検討し、胃発癌リスクマーカーとなりうる遺伝子領域を探索した。胃がん発癌リスクである萎縮性胃粘膜の進展度により層別化して各遺伝子のメチル化異常の蓄積を調査したり、胃癌発症の重要なリスクであるヘリコバクター・ピロリ感染の有無で層別化して各遺伝子のメチル化異常の蓄積を調査したり、胃癌患者と非胃癌患者間での各遺伝子のメチル化異常の蓄積を調査した。各遺伝子により性質が異なり、胃癌リスクを強く反映するものや、ヘリコバクター感染の有無を強く反映するもの、胃粘膜萎縮を強く反映するものが存在することが確認された。2013年には、我々の研究データの解析結果の一部を、”Altered mucosal DNA methylation in parallel with highly active Helicobacter pylori-related gastritis. Gastric Cancer 2013 Oct;16(4):488-97.”として報告した。また、他施設との同領域の共同研究者として、”Identification of gastric cancer risk markers that are informative in individuals with past H. pylori infection. Gastric Cancer 2012 Oct;15(4):382-8.”、”Comprehensive DNA methylation and extensive mutation analyses reveal an association between the CpG island methylator phenotype and oncogenic mutations in gastric cancers. Cancer Lett. 2013 Mar 1;330(1):33-40 として報告した。
3: やや遅れている
DNAメチル化の蓄積が胃癌リスクをより強く反映する遺伝子の探索を進めており、一定の成果がえられているが、さらに性能の優れた遺伝子がないか探索をすすめており、検体処理や解析にずれこみが生じている。
現時点での胃癌リスクを強く反映する性能の優れた遺伝子で、検体処理や解析に持ち込む予定である。
DNAメチル化の蓄積が胃癌リスクをより強く反映する遺伝子の探索を進めており、一定の成果がえられているが、さらに性能の優れた遺伝子がないか探索をすすめており、検体処理や解析がずれこんだため、次年度使用額が生じた。現時点での胃癌リスクを強く反映する性能の優れた遺伝子で、検体処理や解析に持ち込む予定で、そのランニングコストなどに用いる予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Gastric Cancer
巻: 16(4) ページ: 488-497
10.1007/s10120-012-0230-x