研究概要 |
本研究では、細胞毒性発現とソラフェニブ未変化体及び代謝物の動態プロファイルとの関連性を明らかにし、ソラフェニブ投与時に生じる肝障害の早期予測マーカーの探索を目的としている。まず、ソラフェニブ、及びその主代謝物であるソラフェニブN-オキサイドをヒト肝臓がん由来細胞HepG2細胞へ添加し、24, 48時間培養後の細胞生存率をMTT assay法で測定した。その結果、HepG2細胞に対するソラフェニブのEC50は、24時間後で5.56μg/mL,48時間後で5.17μg/mLであった。一方、HepG2細胞に対するソラフェニブN-オキサイドのEC50は、24時間後で3.76μg/mL,48時間後で2.25μg/mLであった。さらに、Huh7細胞についても同様の検討を行ったところ、Huh7細胞に対するソラフェニブのEC50は、24時間後で9.65μg/mL,48時間後で8.69μg/mLであった。一方、Huh7細胞に対するソラフェニブN-オキサイドのEC50は、24時間後で12.04μg/mL,48時間後で10.08μg/mLであったさらに、細胞障害の検討を、LDH assayにより行った。その結果、HepG2細胞へソラフェニブを暴露させたときのLDHの産生はHuh7細胞と比較して強かった。これらの結果より、ソラフェニブによる細胞毒性は、Huh7細胞と比較して、HepG2細胞において強く発現することが示唆された。
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