本研究は、介護職と医療職が協働する際にコミュニケーションギャップから起こるであろう危険やリスクを低減させ良質のサービスを提供するために求められる連携を、思考をキーワードに研究したものである。医療職・介護職の連携を促進する方法として、互いの専門性を理解・尊重するために、それぞれの職種の認知スキーム・思考スキームに着眼し研究開発を行った。本研究では、検証に使用する教材を、8場面映像化し使用した。実験には、看護職。介護職にほぼ同数参加してもらい、映像を見てもらい、①観察したこと、②どのような行動を起こすか、③行動の根拠は何かを「思考スキーム短冊」に記入してもらい、それも基に、グループワークディスカッションし、それぞれの思考の違いを確認し合うという作業を実施した。その結果、各職種にはディシプリンがあり、それぞれの専門性に依拠した認知スキームを持っていることが検証された。 「思考スキーム短冊」による、観察、行動、根拠という普遍的な思考単位を使うことで、互いを誤解せず、価値観をさしはさむことなしに現場の事態を伝えることができる。 今後、医療・介護のみならず、様々な専門職連携が進む中、専門職間で迅速に意識共有、知識共有が図られる必要性が高まっている。それらの共有には、思考スキームを意図したコミュニケーションが貢献していくことが立証された。 今後は、医療・福祉サービス利用者・家族も視野に入れた専門職・費専門職間の思考スキームを検証し、利用者本位の良質なサービスを協働で実施できるツール開発につなげたい。
|