昨年の単著『統合の終焉』(岩波書店)の刊行に引き続き、今年度は『ヨーロッパ統合史』の増補版を公刊し、統合とは逆向きの解体の研究を加味した形で近年の憲法・ユーロ危機をあとづけ、その意味を思想、政策的に探る作業を別途論文の形で公刊した。とりわけユーロ危機の実証研究を進めるに当たり、不信ゆえに各国分断と統合が同時に進むさまを明らかにしたことは、研究の大きな進展を意味する。 ユーゴやソ連などの連邦解体の議論への比較参照がなかなか進まなかったものの、ユーロ危機に沿った形で逆統合を考察する体系的な著書・論考の執筆を優先したことになった。今後につながる多くの着想を得た。
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