[平成26年度研究成果] 漸近的双曲多様体(AH様体と略)の間の調和写像に対する無限遠におけるDirichlet問題の可解性と一意性のほぼ最良な結果を松本佳彦氏との共同研究で与えた。与えられたAH多様体に対する付加条件も最良なものである。これは閉多様体間のElles-Sampsonの結果の非コンパクト版となっている。この結果をまとめた論文は現在投稿中である。また漸近的複素双曲多様体の間の調和写像の存在問題、一意性および複素解析性に関する研究も行っており、部分的な結果を得ているが現在も研究中である。 本研究課題に関係して、2次元複素空間内の極小ラグランジュ曲面(相山玲子氏、川上裕氏との共同研究)、5次元ハイゼンベルグ群内の極小ルジャンドル曲面(相山玲子氏との共同研究)に関する結果を得、それぞれ論文にまとめた。特に5次元ハイゼンベルグ群内の極小ルジャンドル曲面に関しては、3次元ユークリッド空間内の極小曲面の場合と同様の、正則データによる表現公式を得た。この研究も現在進行中である。
[研究期間全体を通して実施した研究成果] 当初の具体的研究の目的は、双曲空間の直積上のポアンカレ・アインシュタイン計量、および双曲空間の直積から双曲空間のへの調和写像の存在問題の研究であった。海外連携研究者のR. Mazzeo氏との頻繁な研究連絡も行ったが、期間内にこの目標は達成できなかった.しかしながらその前段階のAH多様体の間の調和写像の存在問題と一意性に関しては顕著な結果を得ることができた。本研究課題に関係して、2次元複素空間内の曲面論および5次元ハイゼンベルグ群内のルジャンドル曲面に関しても一定の成果が得られた。特に極小ラグランジュ曲面/極小ルジャンドル曲面に関しては顕著な結果が得られた。
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