研究課題/領域番号 |
24700369
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
和手 麗香 関西医科大学, 医学部, 講師 (50440988)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 質量顕微鏡 |
研究概要 |
研究対象である筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン病のヒト剖検標本において、ホルマリン固定後パラフィン包埋された中枢神経組織を薄切した。これを、質量顕微鏡で走査するための準備実験を繰り返し行ったが安定した試料の作成が非常に困難であった。一方、切片を抗リン酸化TDP-43抗体および抗αシヌクレイン抗体を用いて染色し、構造物の同定を行うことは可能であった。 以上から、ホルマリン固定による試料の質のばらつきによる影響を除外して質量顕微鏡の準備試薬を決定するため、同様の手法を用いてパーキンソン病モデルラットを作成し、試薬および手技の安定を図った。7~9週齢の雌のSDラットに定位脳手術を行い、6-Hydroxydopamine hydrobromideを用いてパーキンソン病モデルを作成した。術後、ラットの運動機能を観察し、片側のパーキンソニズムを呈していることを確認して、凍結脳の薄切標本を作成した。すなわち、モデルラット凍結標本でまず同実験を行うことで、もっとも困難な質量顕微鏡走査の準備実験の安定を図り、また走査後切片を染色して座標を同定する作業の手技の安定が可能となる。また、この前実験で得られた抽出蛋白のデータを用いて、ヒト標本での本実験でターゲットとする蛋白の照準が合わせやすくなると考えている、さらに、ヒト標本では不可能な、健側と患側の比較が可能となった。 本年度は前実験としてラットの定位脳手術、モデル作成、試料作製部分を完了し、本実験としてはマッピングのための染色手技の確立を果たした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画の手技ではホルマリン固定標本で安定した結果が得られず、同様の手技を用いたモデルラットでの前実験を行うこととしたため。また、計画段階で予定していなかった妊娠・出産および育児のため、年度途中での休業を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
育児休業終了後に前実験の完了および本実験の主たる部分の再開を行う予定である。具体的には、ラット凍結標本の蛋白解析と、ヒト剖検標本試料の追加作成、質量顕微鏡走査、蛋白解析を順次進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
特殊ガラス製品、蛋白解析試薬、免疫染色のための抗体および試薬を順次使用し、結果を公表するための論文投稿準備および学会発表の出張費が必要となる予定である。
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