8週例の雌のSDラットの定位脳手術にて6-Hydroxydopamine hydrobromideで左側のドパミン神経を破壊し、hemi-parkinsonismを発現することを行動観察で確認したのち、と殺したラットの脳をドライアイスパウダー内で凍結固定して標本を作製した。手術側と対象側の大脳基底核回路のmRNAを、real time RT-PCRを用いてregional quantitationを行った。結果は、線条体においてProdynorphinおよびdopamine receptor D1のmRNAが低下しており、proenkephalinのmRNAが増加していた。また、淡蒼球ではadenosine A2A receptorのmRNA増加が認められた。その後、同様にラットの脳を10μm厚に薄切し、左右線条体の組織をDHBをマトリクスに用いて、adenosineを主ターゲットとしたMALDI-TOFによる解析を行った。 動物実験の結果を踏まえ、LCMで切り出した前頭側頭型認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症のヒト剖検標本の脊髄前角灰白質のSDS-PAGEを行った。電気泳動分子量マーカーを指標に5つに分画した後、ゲル内でのbuffer置換と消化を経て、ペプチドを回収した。Nano-LC systemによる分離を行って、MALDI-TOF/TOF 5800による測定をおこなったのち、protein pilotを用いたデータベース検索と同定を行った。患者組織から同定されたタンパク質と、disease controlの同組織において同定されたタンパク質を比較検討した。患者組織のみから同定されたタンパクは複数認められたが、ピークは量的にdominantな分子に埋没し、疾患特異的な微量分子が検出できなかった可能性が残った。今後質量分析にかける前に免疫沈降などでselectionをかけるなどの工夫が必要と考えた。
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