本研究は、津波被災地における復興のあり方について、北海道南西沖地震(1993年)を経験した北海道奥尻島における追悼行事と防災教育、災害文化に着目し、社会学的に考察を深めることを目指して調査研究を実施した。奥尻町における追悼行事は、行政、遺族会、住民有志によって行われていた。行政の追悼行事は2013年に終了したため、主体的な発信の場が限られることとなった。遺族会と住民有志の活動は続いており、その中で災害伝承が行われている。スマトラ島沖地震(2004年)以降は、防災教育や教訓発信が求められるようになり、依頼に基づく発信が始まった。東日本大震災以後は、住民による主体的な災害発信が行われ始めている。
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