サッポロフキバッタのサンプリングについては,異なる染色体レースが分布する上士幌町,西興部町とその周辺地域で実施した.オス個体については精巣を取りだし,顕微鏡下で個体の核型を判定した.観察した標本は複数のプローブを用いた蛍光in situハイブリダイゼーション法により,染色体構造を観察,比較した.また異なる染色体レースの間で交配実験も引き続き実施し,ペア間の交雑頻度,産卵数などの適応度形質データを取得した.また新たに開発したマイクロサテライトマーカーを使った父性解析を開始した.これにより,見かけの交接が起きているのか,受精に至っているのかを判別する.サンプリングされた個体からはDNAを抽出し,マイクロサテライトデータを取得した(現在も継続中).これまでの成果については,ブラジルで開催された国際直翅類学会大会にて口頭発表にて報告した.また本種にて新たに見つかった共生微生物Wolbachiaに少なくとも3つの変異体が存在していることが明らかとなり,一連の成果が日本昆虫学会英文誌に掲載された.またゲノムワイドな塩基多型情報を抽出可能にするRAD-seq法については,現在提唱されているプロトコルを改変した方法に従いライブラリを作成し,Illumina HiSeqにて塩基配列を解読終了した.現在出力されたデータについて,解析パイプラインを作成している.
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