25年度:気象庁の現業波浪モデルの波浪データと港湾技研の沿岸観測波浪データを用いて日本沿岸および近海の波力エネルギーの気候値を作成した。また、観測値に対するモデルバイアスの特性を把握するための解析的手法を提案し、国際学会で発表した。 26年度:複数の海上風データを外力として波浪モデルを駆動して日本沿岸および近海の波力エネルギーを推定した。海上風データの違いに伴う波力エネルギーのばらつきを見積もることで、波力エネルギー推定における不確実性の評価を行った。また、波浪モデルの出力結果を利用して、洋上風力エネルギーの見積もりも同時に行った。さらに、近年の地球温暖化の停滞傾向に関連した北太平洋の波浪の活動度の弱化傾向について、気候システムの視点からメカニズムを明らかにした。国内外の学会で解析結果の発表を行い、また、学術論文として出版した。 27年度:26年度に行った複数の海上風データを外力とした波力エネルギーの推定を引き続き行い、数値実験を完了した。国内外の学会で解析結果の発表を行い、学術論文として投稿した(査読中)。さらに、波力エネルギーの推定には外力としての海上風データの時空間的な均質性が必要とされるため、1950年以降の長期の海上風データの時空間的な均質性(homogeneity)について、JRA-55とJRA-55Cの大気再解析データを用いて調べた。その結果、衛星観測データを大気再解析データに同化することによって、波力エネルギーの長期トレンドに有意な影響がある海域と期間を明らかにした。解析結果を論文として投稿した(改訂中)。 本研究で構築した波力エネルギー推定システムを活用することで、今後、波力エネルギー短期予測システムに展開することが可能となった。
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