低カロリーバイオガス燃料を使用するマイクロガスタービン燃焼器(出力5kW)の開発とその燃焼特性の解明が本研究の目的である.本研究では安定供給が可能な下水汚泥由来のバイオガス燃料の適用を検討している.ただし,下水汚泥バイオガス燃料は窒素を多く含み,さらに発熱量がメタンのおよそ10分の1程度となる.このことから、燃料に含まれる窒素に由来するNOx生成と発熱量の低下に基づく火炎の不安定性が問題となる。したがって,低NOx燃焼技術と安定燃焼技術の両者が同時に求められる.また,バイオガス燃料は起源に依存して,約10%程度の発熱量の変動がある.これらの条件に対応するため,これまでに開発した極めて安定性の高い旋回噴流燃焼器のマイクロガスタービン燃焼器への適用を実施した. 平成27年度は平成26年度の成果(5kwマイクロガスタービンの二次旋回燃焼器と一次旋回噴流燃焼器との組み合わせにより、平均発熱量(3400kJ/Nm3)の場合,一次噴流燃料流量,一次旋回燃料流量,二次旋回燃料流量の比を1:3:1とすることで,安定な燃焼が可能であることが明らかとなった.また,NOxの排出量が5 mg/kgfuelとなり,極めて低NOx燃焼が実現できることを明らかにした.ただし,発熱量が10%低下した場合には不完全燃焼が発生した.)に基づき、二次燃焼器の改良を行った。二次旋回燃焼部分を壁面に沿う一対の燃料噴流と一対の予熱された空気噴流を90度ずらし、噴出させた。この設計により、二次燃料と二次空気の混合が抑制され、一次燃焼の既燃ガスで予熱および希釈されたのちに燃焼する緩慢燃焼が進行し、安定燃焼が可能となった。
|