研究課題
我々の研究室(以下当研究室)では、マウス新規制御性T細胞(Treg)としてLAG3+Tregを同定した。LAG3+Tregは転写因子Egr-2で規定され、炎症性腸疾患やループス腎炎のモデルで治療効果を発揮する。我々は、ヒト扁桃の解析からLAG3+Tregがヒトでも存在することを明らかにした。またマイクロアレイ解析から、LAG3+Tregは扁桃腺中の新規細胞集団であることが示唆された。ヒトLAG3+Tregは、IL-10を高産生し、濾胞性ヘルパーT細胞によるB細胞活性化と抗体産生を試験管内で抑制し、またLAG3+TregはB細胞のアポトーシスを誘導していることも明らかとなった。また、本細胞群はヒト化マウスの移植片対宿主病(GVHD)を生体内で抑制した。作用機序においては、細胞接触因子が重要であることを明らかにし、阻害抗体の実験から、PD-1/PD-L1系が重要であることが明らかとなった。LAG3+TregはIL-10産生制御性T細胞(Tr1)と考えられるが、ヒト二次リンパ組織におけるTr1が同定されたのは本研究が初めてである。現在論文投稿中である。続いて我々は、ヒトLAG3+Tregを末梢血単核球(PBMC)でも同定し、扁桃のLAG3+Tregと同様のTr1の性質をもつことを明らかにした。特に疾患活動性の高い関節リウマチ患者のPBMCでヒトLAG3+Tregが低く、加療により増加することが明らかとなった。LAG3+Tregは自己免疫疾患を抑制する細胞集団と考えられた。本研究の結果の一部は、マウスの結果と併せてNature Communicationsに掲載された(Nat Commun. 2015;6:6329.)。現在、ヒトPBMCにおけるLAG3+Tregが関節リウマチの加療によって増加する機序を明らかにしており、その結果について論文投稿準備中である。
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Nature Communications
巻: 6 ページ: 6329
10.1038/ncomms7329.