研究課題/領域番号 |
25860981
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 直樹 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40615895)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | うつ病 / functional MRI / 報酬系 / 報酬予測課題 / 難治性うつ病 / ドパミン |
研究概要 |
平成25年度末までの間に、健常者11名(女性3名)、未服薬の大うつ病患者11名(女性6名)の撮像を行った。両群とも20代前半の被験者が中心であり、特に大うつ病患者群は全例が当大学保健センターを初診した大うつ病患者のうち、研究に同意が得られた者であった。うつ病患者群の重症度は中程度の者が主であった。両群で報酬予測課題遂行時の脳活動をfMRIを用いて計測したところ、未治療の大うつ病患者群と健常者群の比較において、右腹側線状態において患者群は健常者群と比較して賦活が弱かった。また健常者ではより強い報酬の予告に対して腹側線状態がより強く反応するが、大うつ病患者ではこのような報酬の高まりに対する腹側線状態の賦活の高まりを認めないことが明らかとなった。報酬予測に対する腹側線状態の賦活の高まりはドパミン神経系に担われており、この事は未治療の大うつ病患者においてドパミン神経系の活動の異常があることを示唆する所見と考えられる。一方で、臨床症状、気質、幼少期ストレスと腹側線状態の賦活の間に相関は認められず、これらの因子とドパミン機能の関係は現時点では不明であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
横断研究の結果は上記の通りであり、22名の撮像を行い一定の所見を得た。一方で上記11名の患者群のうちsertralineの内服を2週間以上継続でき、縦断の撮像ができたものは2名であった。このこともあり、臨床症状、気質、幼少期ストレス、難治性の有無と腹側線条体の賦活の関連性を平成25年度中に確認することはできなかった。被験者の大部分は当院保健センターを初診したうつ病患者であり、当大学の学生であった。中断理由は加療開始後の自己判断での中断が主であった。また撮像に用いた当大学医歯学中央研究棟の1.5TMRI装置が老朽化にともない急遽入れ替えとなり、途中から撮像ができなくなったことも理由の1つであった。
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今後の研究の推進方策 |
医歯学中央研究棟のMRI装置は3Tの装置に入れ替えとなり、平成26年4月より撮像可能な状況となった。従来撮像にもちいた課題は新規装置でも従来通りに使用可能であることを既に確認している。今後は数回の予備実験で新しい装置での結果を確認し、各種パラメーターを調整の上で、5月より実験を再開する。ただ、当院のうつ病初診患者は大多数が他院での加療を経た症例であり未治療の症例のリクルートは保健センターの症例に頼らざるを得ない状況である。上述の通り、平成25年度の研究の遅延については、リクルートした症例が早期に研究から脱落してしまったことが主要な原因の1つであり、保健センターからのリクルートに依存する方法では同様の結果となる懸念が強い。また幼少期ストレスや性格傾向と腹側線条体の賦活の間には有意な相関をみとめなかったが、この事には症例数の不足が原因の1つと考えられた。我々の主たる目的は難治性うつ病におけるドパミン系の関与をfMRIを用いて評価することであり、そのためには残り1年でできるだけ多数の症例数が必要である。このため当初の計画を変更し、平成26年度は当科感情障害患者および健常者を新規3TMRIを用いて横断的に評価する。評価項目は当初計画通りとする。その後に報酬予測課題遂行時の腹側線条体のβ値をfMRIの結果の代表値として、各種臨床評価との関係を共分散構造解析を用いて評価する。この結果として、幼少期ストレス、気質、うつ病の症状、と脳内のドパミン機能の関係を評価する事ができる。また難知性うつ病であるかどうかを因子の1つに加える事により、難知性うつ病にける、脳内ドパミン系の機能の関与を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の研究費については大部分がMRI装置の使用料と被験者に対する謝金である。これらについては平成26年度も平成25年度と同様に必要であり、また被験者数の増加を考えると被験者謝金については平成25年度よりも必要な額が増加する可能性がある。これらのことから平成26年度分の使用額が生じている。 MRI装置については他財源からの支出とあわせ、通年で週2日、全日の使用枠の確保をする予定である。被験者は上述の共分散構造解析のために各群100例を目標に被験者をリクルートする。これらの撮像枠の確保(半年、半日で40万円程度)と被験者謝金(1例4000円)に使用する予定である。
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