本研究では、2000年代以降の新しい認知症ケア概念の特徴を、複数の質的データに基づいて明らかにする作業と、ケアを超えて展開する認知症をめぐる活動についての探索的検討を行った。第一に、認知症関連の複数のドキュメンタリー番組の視聴と文字の書き起こしから得たデータをもとに、過去の認知症の人へのケア実践と現在のものとの異同を明らかにし、現在の認知症ケア実践に対する示唆を示した。第二に、フィールドワークをもとに、認知症の本人を重視した現代的なケアに置けるジレンマを明らかにした。第三に、ケアや介護の課題を超えて展開する当事者活動の持つ可能性と予想される困難について検討し、今後取り組むべき課題を明確にした。
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