研究課題/領域番号 |
25885064
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
石附 敬 東北福祉大学, 総合福祉学部, 講師 (20463200)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 重度要介護高齢者 / 家族介護者 / 在宅 / サービス利用 |
研究実績の概要 |
本研究は長期に在宅生活を継続している重度要介護高齢者のサービス選択の特徴を施設入所者との比較に基づく質的分析方法により明らかにし、重度者の在宅支援及びその家族介護者の支援のあり方について検討することを目的とした。 宮城県A市内の複数の介護サービス提供事業所に対し、「重度者を在宅で3年以上介護している家族介護者」と「重度者の在宅介護を開始後3年以内に中断した家族介護者」の紹介を依頼し、2013年12月から2014年3月に、家族介護者25名に対し半構造化インタビューを実施した。得られたデータを基に、グランデッドセオリー・アプローチを用い、「重度要介護高齢者の状態の変化に応じた利用サービスの変更プロセス」を分析した。 結果以下のことが明らかになった。要介護者への≪重度化に対する介護の必要性≫は、長期間の介護の延長として徐々に訪れるか、あるいは脳こうそくの発症等の急な病状変化による入院を契機として突然訪れるなど様々である。これに対して、家族介護者が様々な状況を考慮して在宅介護を希望しない場合は、施設入所ができるまでの間の対応としてデイサービスやショートステイといった<自宅外サービスの利用>の強化により対応し、その後施設入所となり在宅介護が中断されていた。一方、家族介護者が在宅介護を希望した場合、≪本人の状態の変化への対応≫や≪家族状況の変化への対応≫として、<訪問系サービスの利用><在宅医療の利用><自宅外サービスの利用>により対応が行われていた。この対応状況に対する家族介護者の評価として【安心感を得る】ことができた場合、それが在宅介護の長期継続へとつながり、また、【安心感を得る】ことができない場合は、≪本人の状態の変化への対応≫や≪家族状況の変化への対応≫としてサービスの再調整が行われていた。 以上の結果を基に、重度者の在宅支援及びその家族介護者の支援のあり方について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標として、長期に在宅生活を継続している重度要介護高齢者の家族介護者15名と、在宅から施設ケアに移行した重度要介護高齢者の家族介護者15名に対するインタビューを計画していたが、最終的にそれぞれ13名と12名の計25名のデータを収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は以下の二点に集約される。 (1)本年度収集されたデータに基づき、長期に在宅生活を継続している重度者及びその家族介護者のサービス利用の特徴について、さらに詳細な分析を進めること。 (2)在宅介護を開始して間もない重度要介護高齢者の家族介護者のインタビューを実施し、重度者の在宅介護における効果的なサービス利用の在り方について検討を進めること。
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