本研究は、2015年1月より施行されている「ブラッセルI改正規則」がわが国を含むEU域外諸国の市民に与える影響を分析、検討するものである。 「ブラッセルI規則」は成功した規則として評価されてきたが、その反面、同規則がEU域内の市民を念頭に置いた「内向きの規則」の性質を持っていることから、わが国をはじめとするEU域外諸国の市民に適用される場合には問題があると指摘されてきた。本研究では、残余管轄、合意管轄、訴訟競合の問題に焦点をあてつつ、今回の改正が、指摘されてきた諸点をどのように改善したかについて、考察する。
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