研究課題/領域番号 |
26463053
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
小泉 敏之 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (80323575)
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研究分担者 |
來生 知 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30545059)
藤内 祝 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (50172127)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 温熱療法 |
研究実績の概要 |
本研究は、頭頸部癌細胞において交流磁場下での造影剤リゾビストの温熱加温と分子標的薬セツキシマブを併用することにより、セツキシマブに抗がん効果の抵抗性を示した頭頸部癌への新たな治療法を開発を目的としている。われわれは、昨年度までに温熱加温を行ったヒト由来扁平上皮癌が加温を行っていない細胞に比べEGFRの発現量が高くなることを発見した。そこで、KRAS 遺伝子の変異がなく、セツキシマブにより治療効果が見込まれない扁平上皮癌細胞に対して温熱加温を行い、EGFRを高発現させセツキシマブで刺激することで抗がん作用を発揮すると推測できる。前年度までに得られた結果を元にして、セツキシマブに抵抗性を示すヒト由来扁平上皮癌細胞を移植したマウスモデルを作成した。また、リゾビストを腫瘍部に局所投与し交流磁場下で発熱させた。セツキシマブの標的とするEGFRの発現を誘導させた後、セツキシマブ併用による抗腫瘍効果の増強を検討した。治療群を以下の6グループに分ける。①コントロール群(リゾビスト・セツキシマブ投与なし)②リゾビストを左大腿に局所投与のみ群③セツキシマブを静脈投与のみ群④リゾビスト投与後、交流磁場にて磁場印加群⑤リゾビスト・セツキシマブの投与群⑥リゾビスト投与し交流磁場にて磁場印加した後、セツキシマブの静脈投与群である。コントロールに比べて、肉眼的(腫瘍の長さ測定)にセツキシマブに温熱を併用した群に腫瘍の縮小傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験において、セツキシマブとリゾビストを併用して磁場にかけるためマウスに負担が大きく、投与量と磁場印加時間の決定に大幅な時間を要した。平成28年度で実験条件が決まったので、今後N数を増やして優位性を示したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、動物実験において効果を示したいと考えている。治療群を以下の6グループに分ける。①コントロール群(リゾビスト・セツキシマブ投与なし)、②リゾビストを左大腿に局所投与のみ群、③セツキシマブを静脈投与のみ群、④リゾビスト投与後、交流磁場にて磁場印加群、⑤リゾビスト・セツキシマブの投与群、⑥リゾビスト投与し交流磁場にて磁場印加した後、セツキシマブの静脈投与群。抗腫瘍効果の評価は、治療開始後から連日腫瘍を写真撮影にて記録するとともに腫瘍サイズから腫瘍体積 [体積=0.5×(長径×幅径2)]を毎日計測する。また、投薬開始後3週間目に腫瘍組織を摘出し、病理学的解析を行う。具体的には、腫瘍摘出後、半割した腫瘍内部を記録し(写真撮影)、腫瘍組織のパラフィン切片を作製し、H-E染色を行い、腫瘍組織観察を行う。また、腫瘍組織の蛍光TUNEL染色によって、本抗癌剤によるアポトーシス誘導について検討を行う。免疫賦活によって転移性癌を制御している評価として免疫染色しHSP70の腫瘍内局在を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
セツキシマブに抵抗性を示すヒト由来扁平上皮癌細胞を移植したマウスモデルを作成した。また、リゾビストを腫瘍部に局所投与し交流磁場下で発熱させた。セツキシマブの標的とするEGFRの発現を誘導させた後、セツキシマブ併用による抗腫瘍効果の増強を検討したが、これらは事前に確認していたことを一部応用可能であり、条件決定には時間が要したものの、理論的に期待した結果を得られたものも多く、支出を一部おさえることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、動物実験においてセツキシマブの標的とするEGFRの発現を誘導させた後、セツキシマブ併用による抗腫瘍効果の増強を検討し、効果を示したいと考えている。リゾビスト、セツキシマブによるアポトーシス誘導について検討を行う。免疫賦活によって転移性癌を制御している評価として免疫染色にてHSP70の腫瘍内局在を調べるための物品費として使用する。
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