2015年度は、6月13日に同志社大学において開催された日本マス・コミュニケーション学会で、「ドイツと日本、空襲をめぐる空想 -「ポピュラー・カルチャーと戦争」の70年を考えるために」という報告を実施した。戦後史における空襲表象の変移を、日本とドイツ両国のポピュラーカルチャーを通じて比較考察した。同時に、相違点を明らかにし、日本の戦争記憶関連研究への貢献を試みた。本成果は、2016年1月に発行された学術誌『マスコミュニケーション研究』88号において、「日本・ドイツの空襲と「ポピュラー・カルチャー」を考えるために ―『君の名は』『ガラスのうさぎ』『ドレスデン』などを例に」と題して論文化した。なお、学会報告からは大幅な加筆修正を行っている。 また、2016年2月19日から3月6日までの期間、ドイツ連邦共和国において空襲・戦災の慰霊関連の文書を収集した。具体的には、プフォルツハイム市、ザールブリュッケン市、コブレンツ市、ベルリン市、ケルン市において資料収集そして空襲慰霊の式典の実態を調査した。プフォルツハイム市では、市立文書館で戦後慰霊の実態を市の行政と教会組織そして民間団体の関係についての史料を渉猟した。その後、ザールブリュッケン市のザールラント州立文書館、コブレンツ州立文書館において、他の州における空襲慰霊および記念碑の建立に関する一次文献を収集した。また、ベルリン市ではベルリン国立図書館、ケルン市では市立文書館および各所の慰霊施設を訪問し、資料収集および踏査を行なった。 これらの成果は、6月の空襲研究会、8月末の空襲連絡会議大会において報告することが、すでに決定している。これらの成果を論文化することも予定されている。
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