研究課題
当初の研究計画では平成27年度に行う予定であった、ブタによる常温酸素化灌流装置を用いた分割肝移植実験を平成26年度に先行して行った。実験の方法は、ドナーブタよりグラフト肝を摘出し、その保存において①冷保存群(従来法)②常温酸素化灌流装置群の2群に分け、100分の保存を行った。またその保存中に肝分割を施行した。保存後はレシピエントブタの右腎臓を摘出し、異所性肝移植を行い、移植後12時間の保存実験を行った。そして以下の結果が得られた。・ 移植後12時間の生存実験において、肝逸脱酵素は常温酸素化灌流装置群で低く抑えられている傾向があった。・ 灌流・保存後の病理では冷保存群でやや類洞の拡張が見られた。また免疫染色では冷保存群でTNFαの上昇がみられた。・ 移植12時間後の病理では冷保存群で肝細胞の脱落が見られた。以上の結果よりグラフト肝への障害が大きい分割肝移植において常温酸素化灌流装置は、グラフト肝のviabilityを保ち、虚血再灌流障害を軽減することにより、その有用性が示唆された。しかし、異所性肝移植の手術侵襲が強く、レシピエントブタの循環動態が安定しなかったため、5日間の生存実験は施行することが困難であり、循環動態不良による結果の不安定性を考慮し、移植後12時間の保存実験とした。現在は灌流装置における適切な還流条件の検索として、酸素運搬体の必要性の有無について検討している。
2: おおむね順調に進展している
上記の通り、実験を遂行している。当初の予定を一部前後して実験を行っているが、現在、灌流装置における適切な還流条件の検索として、酸素運搬体の必要性の有無について具体的な実験方法について修正し計画している。
灌流装置における適切な還流条件の検索として、酸素運搬体の必要性の有無について具体的な実験方法について修正し計画している。また、先に得られた結果について論文作成し、発表していく。
端数
次年度使用予定
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Transplantation Proceedings
巻: 47(2) ページ: 419-426
10.1016/j.transproceed.2014.10.053.