交通規制および交通安全施設が交通災害防止に与える効果を明らかにするためにつぎのような調査研究を行なった。 1.急カーブ、急勾配の連続する阪奈道路を対象に、カーブ区間と直線区間での事故発生上の特徴を分析した。つぎに、カーブ開始地点ならびにカーブ中間地点における速度を調査し路側環境および中央分離帯タイプがカーブでの速度に及ぼす影響を分析するとともに、それらの速度抑制効果を明らかにした。 2.下り勾配と曲線の組み合わさった区間にある交差点を対象に、信号設置前後における走行速度の調査を行い、信号機や予告信号の見通しや勾配・平面線形の速度への影響を分析した。また、先行車の影響を追従モデルを用いて定式化し、信号設置前後の差異を予告信号機等が運転者の速度決定に与える影響と信号待ちの停止車両の与える影響とに分離することを試みた。 3.ドライバーの視環境における文字および図形表示の新しい設計法の検討をおこなった。台形アナモルフォシスの視環境を座標変換式として定式化し、路面表示設計への適用を試み従来の路面表示との対比を行った。現在、その実用性について検討中である。 4.交通事故の危険度評価や交通安全対策の効果判定の尺度として用いられている交通事故率を検討し、利用主体(警察、道路管理者等)にとってより実用性に富み、信頼性の高い指標への改良を試みている。 5.高速道路利用ドライバーへのヒアリング調査をおこない、接近追従する理由の多様さと速く行きたいという速度欲求の存在を明らかにした。また、実験的に、車間距離に対するドライバーの速度欲求伝達反応を調査し、前車へ速度欲求を伝えるためには20m程度の短かい車間距離になるまで前車に接近しなければならないことが判明した。
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