研究概要 |
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光分布の渦パターンであるBモードを測定する事は、初期宇宙の非常に高いエネルギースケールの重力波による時空の歪みを検出する有効な手段である。 宇宙マイクロ波背景高感度放射(以下CMB)の偏光観測を行う場合,可能な限り前景放射等CMB以外からの放射を排除した高感度観測必要がある。特に高周波帯では星間ダストの影響が、低周波帯ではシンクロトロン放射が卓越する。その為CMBのピーク周波数帯である150GHz帯だけでなく60~300GHzの広帯域で観測することで前景放射に起因するものを同定し除去できるシステムが不可欠となる。上記のような観測システムで用いる光学素子はこの広帯域をカバーでき,偏光に対する周波数特性も理解する必要がある。本研究では(1)広視野広帯域で用いる光学素子を透過特性を評価できるシステムの構築(2)光学素子の一つであるフィルタ開発をすすめた。今年度は主に(1)を主眼にシステム構築を進めた。光学素子評価システムは海保大・森川治教授が研究を進めているブロードエリアレーザとスペイシャルフィルタを用いた時間領域分光システムを参考に20cm四方までの光学素子の透過特性を評価できる測定システムを考案した。(2)については大阪大学レーザ研の萩行教授との共同でメタマテリアルを用いたサブミリ波フィルタの開発を始めた。また,国立天文台先端技術センターの松尾准教授とアルミナを用いたローパスフィルタおよび干渉フィルタの基礎設計が行われた。
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