聴源性驚愕反応を利用した幼児期ストレス体験の影響に関する比較心理学的研究
Project/Area Number |
13871013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
実験系心理学
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
廣中 直行 専修大学, 文学部, 教授 (60173291)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 驚愕反応 / 瞬目反射 / ストレス体験 / 快と不快 / 不安 / 筋電図 / PTSD / 母子分離 / 恐怖 / パーソナリティ |
Research Abstract |
ヒトやラット・マウスに突然大きな音を聞かせた時に生じる聴源性驚愕反応(ASR)は,脳幹部で調節されている防御性の反射であり,ヒトと齧歯類で神経回路が共通している。また脳幹部は大脳辺縁系の調節を受け,ASRはヒトでも齧歯類でも快や不快などの情動状態によって左右される。本研究では感情研究におけるASRの有用性を検討するため,マウスの母子分離が成長後のASRに与える影響を検討し,また,ヒトの瞬目反射を眼輸筋の筋電図として記録するシステムを構築した。マウスの実験では大きな音を聞かせた時に生じる全身の筋肉収縮による体動を記録した。離乳前の一定期間の母子分雌により,ASRの基線値は影響を受けなかったが,明るい照明下に動物を置いたときのASRの増強(light potentiation)は亢進しており,母子分離によって不安状態が惹起され易くなっていることが示唆された。ヒトの実験では学生被験者を対象として両耳から強い音を聞かせた時に生じる瞬目反射を記録したところ,大きな個人差が認められた。個人差は以下の4型に分かれた:基線値が大きく慣れも生じないタイプ;基線値が大きいが速やかな慣れが生じるタイプ;基線値が小さく慣れは生じないタイプ;基線値が小さく速やかな慣れが生じるタイプ。これらの個人差がいかなる性格要因を反映しているかを検討するため,各種の心理検査を施行したが,既存の心理検査中にはASRと有意な相関を示すものがなかった。また,主観的な驚愕体験と瞬目反射との間には相関がみられなかった。以上より,動物実験では幼若期ストレス体験の操作方法になお検討の余地はあるものの,light-potentiaionが有力な不安実験法となり得ることが示された。また,ヒトの実験成果は萌芽的な段階にとどまっているが,適切な不安惹起操作を方法を用いることによってPTSD等に関連したASRの変化が検出できるものと考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)