1992 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性イミダゾール誘導体を用いる触媒的不斉反応の研究
Project/Area Number |
04804041
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 芳雄 九州大学, 理学部, 助教授 (00221086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 勗 九州大学, 理学部, 教授 (40037271)
|
Keywords | イミダゾール / 不斉 / 光学活性 / アシル化 / ベンズイミダゾール / 不斉配位子 / アミド / エノラート |
Research Abstract |
イミダゾイル基は、酵素蛋白質の構成アミノ酸の一つであるヒスチジンのアルキル側鎖に存在し、生体内の酵素反応における活性発現の中心的役割を担っている場合が多い。この特異な性質に着目して、新しい不斉触媒反応を開発することを目的として本研究を開始した。 イミダゾイル基を有する光学活性化合物としては、これまで入手容易さからヒスチジン誘導体が良く用いられてきたが、それは反応に関与するイミダゾイル基と不斉中心とがメチレン鎖で結ばれており、離れているので本研究においては高い不斉誘起は期待できない。そこで、イミダゾイル基のより近傍に不斉中心を有する光学活性イミダゾール誘導体を新たに合成することとした。まず、入手容易なマンデル酸を出発原料として光学活性な2-[アルコキシ(シクロヘキシル)メチル]ベンズイミダゾール誘導体を合成した。これをN-アシル化したものを用いてアミドエノラートの不斉アシル化反応を行ったところ、最高65%の不斉収率を達成することができた。この結果は脱離基に不斉素子を導入した不斉反応としては高く評価されるものである。このようにして光学活性なイミダゾール誘導体を用いる不斉反応が合成化学上有効であることが明かとなった。今後は光学活性なイミダゾール誘導体としてさらに有用であると考えられる擬C_2-対称性を有するものやイミダゾイル基を二つ以上有するものの合成を検討する。同時にそれらを種々の不斉反応に用いる予定である。
|