1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560191
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
板澤 靖男 九州大学, 農学部, 教授 (60038172)
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Keywords | 代謝量 / 組織代謝量 / 相対成長 / マダイ |
Research Abstract |
動物の単位体重当り代謝量(酸素消費量を指標とする)(M/W)は体重の増大に伴って低下するが、この現象を説明すると新しい仮説(Itazawa and Oikawa,1983)を、先に淡水魚のコイを用いて検証した(Itazawa and Oikawa,1986)ので、本研究では海水魚のマダイを用いて検証することを目的とした。 昭和63年度には定性的検証を行ったので、本年度(平成元年度)には定量的検証を計画した。 体重W(g)0.04-8.23のマダイ75個体を用いて、主要部分のin vitroにおける酸素消費量の単位組織重量当りの値Qo_2(μl/min・g)を測定した結果、いずれもQo_2=CW^d…(1)式によって表わされた。d値は頭部-0.233、躯幹部-0.133、内臓-0.027、鰭-0.025で、内臓と鰭では成長を通じてほぼ一定であったが、頭部と躯幹部では成長に伴ってQo_2が低下した。 同じ体重範囲のマダイについて、主要部分の重量P(g)は体重との間にP=kW^s…(2)式で表わされる関係にあった。S値は頭部0.932、躯幹部1.18、内臓0.971、鰭0.947で、躯幹部のみが正成長すなわち体重に占める重量比が成長と共に大きくなり、他の部分はその逆の負成長であった。 部分のin vitroにおける組織重量当り酸素消費量mは、m=c・kW^<d+s>…(3)式で表わされ、体全体のin vitroにおける単位体重当り代謝量Min vitro/WはMin vitro/W=Σm/ΣP…(4)式によって表わされる。(4)式によって計算したMin vitro/Wは、上述の体重範囲にわたって1.97W^<-0.189>となった。一方生きているマダイの単位体重当り酸素消費量Min vitro/Wは、同じ体重範囲にわたって、6.29W^<-0.178>となった。両者のベキ数はほぼ一致し、頭書の現象は成長に伴って、代謝活性の低い組織の体に占める重量比が増大し、また諸組織の代謝活性が低下することによって生ずるのではないかという上述の新仮説が、定量的にも裏づけられた。
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