研究概要 |
本研究に文部省科学研究費交付が決ったのは平成2年秋である。それから半年間が経過したが平成3年1月以降,入試関係の公務等が当初予想していたよりも多くあり,また研究内容にも予想以上の困難が生じて現時点では具体的成果は出ていない。しかしながら研究はいくらかの進展をみせておりその内容を以下に説明する。 1.セミパラメトリック変換モデルをセンサ-がある2標本の場合に拡張しそこで順位推定を定義してその性質を調べるという本研究の目的の1つはつぎの難点にぶつかった。最尤型推定の場合には統計量が自然に定義できたが順位推定の場合はデ-タの順位をカウントするところが難しい。XとYそれぞれにセンサ-が含まれているのでX標本のデ-タの順位をカウントするときYに含まれるセンサ-・デ-タをどういうふうに経験分布にとりこんで統計量として表現すればよいかが未だ不明である。議論の大枠はできておりあとはこの統計量の表現ができて数学的証明が伴えは目的は達成される。 2.金融証券価格のデ-タ分析にセミパラメトリック変換モデルを応用するためにはつぎの点が重要であることが分った。それはデ-たを変換したときの誤差分布形が正規であるようにモデル化することである。これはデ-タが従う分布形が正規から少しゆがんでいることが分かったのとさらにそうとらえることに1つの利点がみえたからである。それは正規分布形をもとにしてオプション価格理論ができているので現実のオプション市場価格が理論価格からどうずれているかを表現するのに便利だからである。寿命のデ-タにおけるセンサ-に対応するものが金融の価格デ-タにおいてあるかどうかは未だ不明である。金融証券価格理論分野の多数の文献に目を通したが未だ対応はみえていない。
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