これまでの調査研究によって、4つの植物供給起源を明示し、これらの植物の生活型・供給起源と回復様式との対応様式を確定し、さらに、有珠山火口原域における種子の定着域を微地形レベルで明らかにした。本科研においては永久調査区内において種子の定着位置及び発芽位置を調査し実生にとってのセイフサイトが種子にとってのセイフサイトになりうることを示し、また、散布された種子と微地形との対応関係を明らかにした。特に、種子発芽にとって不利である粒径の大きな土壌上において種子がトラップされやすいため、結果的に微地形変化の大きな所で植生回復が早く進むことを示した。さらに、散布種子を土壌中から回収し同定選別を行い、これらの種子を実験室において光条件を変えて発芽試験にかけて最適発芽温度及び光条件を決定した(温度可変インキュベータを本科研にて購入)。次に、発達した大型多年生草本の光合成能力を野外において階層別に測定し、さらに最下層植物の光合成能を裸地に定着しているものと比較し、これらの植物が下層形可能な要因を探る(調査実験継続中)。これらの結果と今までの結果を合わせることによって、植物群集の垂直方向への発達様式とその要因を考察した。 有珠山においては、現在でもなお個体数は激しく変動しており安定した変動傾向を得るためにも今後とも継続調査を行うことが重要であるが少なくともこれまでに上記のような結果を本科研によって得ることができた。
|