研究課題/領域番号 |
04454188
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
内藤 眞 熊本大学, 医学部, 助教授 (30045786)
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研究分担者 |
竹屋 元裕 熊本大学, 医学部, 助教授 (90155052)
高橋 潔 熊本大学, 医学部, 教授 (70045631)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1992年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | スカベンジャー受容体 / 動脈硬化 / マクロファージ / 泡沫細胞 / モノクロナル抗体 / 免疫組織化学 / 低密度リポ蛋白 |
研究概要 |
本年度の研究では 1.ヒトのスカベンジャー受容体(SR)が肺胞マクロファージ(Mφ)をはじめ種々の組織のMφや動脈硬化病巣の泡沫細胞に特異的に発現していることが観察された。型特異的抗体を用いた免疫組織学的検索ではヒトMφにI型、II型のSRの同時発現が認められた。2.SRの細胞内局在はウシの肺胞Mφと金粒子標織アセチル化低密度リポ蛋白(acLDL)を用いてリガンドと同時に観察した。SRはMφの細胞膜と、一部エンドゾームの膜に発現し、acLDLをSRに結合させると、SRはcoated pitに集積し、速やかに小胞として細胞内に移入してエンドゾームを形成する。acLDLはライソゾームへ移行し、一方SRはGolgi装置を経由して細胞膜にリサイクルする。SR発現ベクターを非Mφ系細胞のCOS細胞に移入すると、核周、粗面小胞体、Golgi装置にSR活性が認められたが、HEL細胞にこのベクターを移入し、Mφに分化させると、上記小器官に加えて細胞膜にSR活性が発現した。以上の成績からMφにはSRを粗面小胞体から細胞膜へ輸送する特異的な機構が存在することが示唆された。3.動脈硬化病巣の免疫組織化学的検討では、初期像の線維性内膜肥厚病巣ではMφは少数で、その一部にSRが発現した。fatty streakでの泡沫細胞はSRの発現が多く、アテローム斑では泡沫細胞の減少、変性、消失に伴って減弱する。動脈硬化病巣の泡沫細胞、平滑筋、内皮細胞にはMφコロニー刺激因子(M-CSF)とmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)も検出され、M-CSFによるMφのSR発現の増強とMCP-1による単球の動脈壁内侵入への関与が示唆された。以上の成績からMφはSRを介して変性LDLを無制限に取り込み、動脈硬化病変進展に引金になると考えられた。 なおマウスSRのドメインの合成ペプチドを抗原としてモノクロナル抗体を作製したが、その特異性については現在解析中である。
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