研究概要 |
アラミド繊維や炭素繊維ロッド(AFRP及びCFRP)のコンクリート構造部材への適用が考えられているが,その材料特性が鋼材の場合と種々の面で異なる。すなわち,鉄筋腐食環境下でも腐食せず,その引張強度がPC鋼材よりも高い。弾性係数が鋼材の場合の1/4(AFRP)及び3/4(CFRP)と小さく,伸び能力は約3.5%(AFRP)及び約1.5%(CFRP)程度で鋼材の場合の1/5〜1/10程度である。本研究では、これらの材料特性がFRPロッドを用いたポストテンション型PC梁の曲げ及びせん断強さに及ぼす影響について、緊張材量,プレストレス力,軸方向補強材種別と量を変化させて検討した。プレストレストコンクリートにすることによって,FRPロッドの引張強度を十分に活用できるし,全断面有効となる荷重の大きさを大きくできるので,剛性の低下を相当防ぐことができると思われる。本研究の範囲内で以下のことが認められた。 1)FRPを緊張材に用いたPC梁の曲げ耐力はプレストレスを増大させることによって増大する。しかし,緊張力-引張強度比を0.75にすると,梁の曲げ圧縮破壊から曲げ引張破壊に移行し,曲げ耐力が増大しなくなる。 2.FRPを用いたPC梁を曲げ圧縮破壊させても,FRP緊張材の弾性係数が小さいため,破壊に至る過程でたわみが大きくなり,曲げひび割れが梁上縁近くまで進展した後,梁圧縮部コンクリートが圧壊するので,破壊の予知は十分可能であり,曲げ圧縮破壊になるような設計をすることが曲げ引張破壊するようにする場合より望ましいと思われる。 3)曲げ圧縮破壊をするFRPロッドを用いたPC梁の曲げ耐力は緊張材量の増大に伴って大きくなる。これはPC鋼材を用いた場合と異なる点である。 4)FRPロッドを用いたPC梁のせん断耐力はプレストレスを増大させることによって増大する。
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