有限グラフを1つ固定したとき、その3次元ユークリッド空間への埋め込み全体に対して、研究代表者は(1)全同位(2)同境(3)同位(4)I-同値(5)ホモトピー(6)弱ホモトピー(7)ホモロジーという7種の同値関係を、その多くは絡み目理論における概念の自然な一般化として定義した。そして、これらには自然な強弱関係があることを示し、これらの同値関係のもとでいつ空間グラフがほどけるかを決定した。絡み目に対してはミルナ-不変量を使ってホモトピー分類がなされているが、研究代表者は有限グラフについてもウ-不変量を使ってホモロジー分類を完成させている。これを弱ホモトピー分類にまで進展させるのが本研究の主目的であった。一般解は得られなかったが、特殊な有限グラフについては弱ホモトピーとホモロジーが一致することを示し、ウ-不変量によって弱ホモトピー分類が出来ることを示した。その特殊なグラフとは、互いに交わらぬ三辺が存在しないグラフ等のことで例えば5頂点完全グラフ等がそうである。これはホモロジーがデルタ型操作と同値になることから導かれる。 これとは別に研究代表者はユークリッド空間内の有限グラフに対して全曲率を定義してその全曲率がとり得る最小値となる様なグラフがある意味で美しい形をしていることを多くの例をもって示した。これは、閉曲線の全曲率に関するフェンツェルの定理を一般化するもので、今後はこの方面の研究によって結び目理論、空間グラフ理論における微分幾何学の役割がはっきるすることが期待される。
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