研究課題/領域番号 |
06044081
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中川 裕志 横浜国立大学, 工学部, 教授 (20134893)
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研究分担者 |
DALRYMPLE Ma ゼロックス, パロアルト研究センター, 研究員
亀山 恵 SRI International, 研究員
GAWRON Mark SRI International, 研究員
PETERS Stanl スタンフォード大学, 言語学科CSLI, 教授
田窪 行則 九州大学, 文学部, 助教授 (10154957)
中島 秀之 電子技術総合研究所, 協調アーキテクチャ研究室, 室長
今仁 生美 名古屋学院大学, 外国語学部, 助教授 (20213233)
片桐 恭弘 ATR知能映像通信研究所, 第4研究室, 室長
原田 康也 早稲田大学, 法学部, 教授 (80189711)
GAWRON Jean mark SRI International researcher
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1995年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 日本語 / 英語 / 状況 / 文脈 / 言語 / 理解 / 省略 / 談話 / 状況依存性 / 省略現象 / 動詞句省略 / 相互表現 / 視点 / 協調アーキテクチャ |
研究概要 |
本研究を行なった2年間を通じて、日本側代表者・分担者が個別に渡米して、資料収集およびアメリカ側分担者との集中的議論を行なった。また、日米双方の分担者全員が1994年10月26,27日に早稲田大学で研究集会を開き、従来の個別の研究成果を本研究課題である状況依存性の観点から議論し、個別テーマの議論とともに、検討課題を明らかにした。1995年10月25日(横浜国立大学)、26日(早稲田大学)で日米双方の分担者が集まり、共同研究の進捗状況について議論した。以上の共同研究により、下記のような研究成果を得た。 1.相互表現: 英語のeach otherと日本語の「お互い」「あう」という相互表現の意味について比較検討し分析を進めた。その結果、「お互い」が相互表現として解釈されるかどうかは、それが使用される文脈に大きく依存していることが分かり、英語の相互表現との違いが明らかになった。また。「あう」の場合は、主語の示す複数の指示対象物が互いに心理的、物理的に相互関係を持つことが重要であることが分かった。 2.時間表現とその解釈: 状況意味論を利用して日本語と英語の時間、時刻の表現の意味論及びその解釈機構を明らかにした。基本的には両言語コミュニティでは同一の暦を使用しているため、「3月31日午前11時」のような時間表現の解釈方略は同一であると同時にその使用状況に同じように依存することが明らかになった。 3.日本語におけるゼロ代名詞の解釈: ゼロ代名詞はこれまで必須格の省略と考えられてきた。しかし、ここではむしろ述語に付随する隠れた項と考える方法を提案している。この考え方を動的意味論で形式化することによって談話照応、centering理論、発話状況に対する相対的表現(「ここ」「あなた」など)、代名詞の指示用法などが統一的に説明できることを示した。 4.因果関係を表す複文の意味: 因果関係を表す複文について、主節と従属節の主語の指示対象が一致するか、しないかを、各節の述語の意味分類、視点表現、などの要素を考慮して、意味論的、語用論的な手法で予測する方法を開発した。 5.談話における終助詞: 「よ」や「ね」のような終助詞の意味は従来は話し手と聞き手の知識差や話し手の聞き手に対する態度を表すとされた。ここでは、むしろこれらの終助詞は発話時における話し手の心的状態をモニターする表現として定式化した。この定式化により、従来の意味論では説明できなかった言語現象を説明できるようになった。 6.省略現象の分析: “do so"などのような省略ないしはdoで代用された述語の意味を求める新しい方法を提案している。すなわち、省略を含む文に対応してその前に現れる対応すの文と省略を含む文の各々の意味を高階論理式で表現する。省略部分は高階変数で表し、それらが論理式として等しいとして等式を解き、その高階変数の値を求めることによって、省略部分の意味を推論する。この方法により、種々の省略現象において意味を復元することができるようになった。 7.日本語対話の状況依存性: 対話においては文としては不完全な表現が頻繁に用いられるにもかかわらず、意志の疎通は問題なくできる。この事実を状況理論を用いて説明した。すなわち、状況そのものの情報と状況内で成立する性質の情報を分離し、次にこれらの情報が背景化されたり焦点化されたりすることによって、実際にそれが陽に表現されたり省略されたりする現象を説明できるようになった。 8.不定、条件、量化表現の意味論: 日本語の「どの」という表現は疑問を表す変数と解釈できるが、一方「も」という助詞をともなって全称限量もされる。このような意味の差を英語のwhich+everとの平行性に着目して分析した。
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