研究概要 |
スポーツ選手のパフォーマンスはコンディショニングによって左右される。コンディショニングとして,ウォーミングアップ,持久走およびサーカディアン・リズムがパフォーマンス,すなわち有酸素性運動能力および無酸素性運動能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。平成6年度は,コンディショニングとしてウォーミングアップ,平成7年度は持久走,そして平成8年度はサーカディアンリズムである。 方法:被検者は,3年間ともH大学陸上競技選手の短距離選手,中・長距離選手6〜8名である。1.ウォーミングアップ(W-up)の方法は,(1)ストレッチング・準備運動,(2)自転車によるペタリングを各20分とした。2.持久走は約2時間40分走行させた。3.サーカディアンリズムは,1日の午前,午後のパフォーマンスで比較した。3年間とも有酸素性運動能力には,エアロバイク800(コンビ社製)を用いてPWC75%HRmax(以下PWC75)を測定した。無酸素性運動能力にはPOWER MAX-V(コンビ社製)を用いて最大無酸素パワー(以下APmax)を測定した。さらに生理学的指標として血中乳酸濃度,血漿クレアチン燐酸キナーゼ,ヘマトクリット値及び心拍数を測定した。 結果:1.W-upの違いによるPWC75とAPmaxには有意な差はみられなかった。しかしPWC75は,中・長距離選手では短距離選手に比べて高く,Apmaxは,短距離選手では中・長距離選手より高い傾向を示した。2.持久走前後のWPC75とAPmaxには有意な差はみられなかった。持久走後が持久走前に比べてWPC75の個人間のばらつきが大きく,APmaxのそれは小さくなる傾向を示した。3.サーカディアンリズムにおいて,午後測定PWC75,APmaxはともに午前測定に比べて高い値を示し,特にAPmaxでは有意な差であった。
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