コンポスト化を行う場合、材料の最適含水率がよく問題となるが実験的に50〜60%といわれており、ハンドリングに適した含水率であることも相まって、都市ごみや農産廃棄物コンポストプラントではこれに従って運転されている。筆者はこれを実験的に確認するため、牛ふんを材料に、含水率の上下限界に近い30〜80%の広い範囲でコンポスト化反応速度を測定した。この結果、反応速度の最大値が含水率50〜60%に存在した。では、なぜ反応速度の最大値が含水率50〜60%に存在するのか。本研究はこの疑問を解決するために行った。 反応速度の最大値を引き起こす水分環境は存在するが他の水分条件でも肥化反応が停止してしまうような強い反応阻害ではなく、反応は十分進行する。水は溶媒としての役割をもっているだけなので、上記の現象が起きる原因を有機質資材粒子周辺に存在する水膜中の酸素移動量が変化するためではないかと考えた。反応速度の最大値を有機質資材粒子周辺の水膜厚さ(d_L)を変数として整理したのが結果、水膜が3.87×10^<-9>mより厚くなると酸素移動量が漸減し、酸素消費速度が制限されるが、一方水膜厚さが3.87×10^<-9>mより小さくても、水分による微生物活性が徐々に低下したため酸素消費速度が次第に低くなった。したがって水膜厚さ3.87×10^<-9>m付近が最も酸素消費速度(反応速度)が大きくなり、酸素供給の面からと微生物活性の面を総合した堆肥化反応の最適条件と考えられた。
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