研究概要 |
3種のグルタミン酸トランスポーターのうち、我々がクローニングしたh-GluT1以外のヒトグルタミン酸トランスポーターGLT-1,EACC1を、PCR法を用いてクローニングした。それら3種のcDNAをプローブとして用いて、正常ヒト組織における分布を検討した。その結果、GLT-1はほとんど脳に限局した分布を示したが、GluT1は脳以外にも筋肉、胎盤など様々な組織に発現していたが脳での発現量が一番多かった。EACC1は、脳にも発現していたが、脳以外の組織に発現量が多かった。脳内での分布は、各々で、異なっていた。 遺伝性アルツハイマー病の家系との関連を調べるため、ヒトGluT1の染色体上の位置を決定した。FISH法により、第5染色体p13に同定された。この領域に関連したアルツハイマー病の家系はなく、GluT1との関連は、証明できなかった。5番短腕の欠損のよるモノソミ-は、猫啼症候群を引き起こすが、この症候群に必須の領域の欠損部位には、含まれていなかった。 さらにh-GluT1をcos細胞に発現させその薬理学的検討を行った。グルタミン酸レセプターのアゴニストである2-(carboxycyclopropyl)glycine(CCG)の各異性体のグルタミン酸トランスポーターのグルタミン酸取り込み能を検討した。その結果、L-CCG-I,IIは取り込み能に影響を与えなかったが、L-CCGIII,IVは10mMで強い取り込み抑制を示した。
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