研究概要 |
本研究の遂行を通じて、明らかになったのは以下の諸点である。 1 アカウンタビリティの定義:アカウンタビリティ概念は、客観的な尺度に基づいて「成果を出すこと」、およびその成果について「説明すること」という二つの概念から構成されている。そこで、教育におけるアカウンタビリティとは、「教育に携わる人々がその活動を通じて、できる限り所与の教育目標を達成するといった成果を出すよう努力し、さらに生徒・学生や親・納税者に対して、その達成された成果について説明し、場合によっては弁明すること」と定義される。 2 高等教育におけるアカウンタビリティの内実:Kogan,M.によるアカウンタビリティの四分類に基づき、分析を行なった。 (1)現状の大学評価をめぐる議論においては、高等教育におけるアカウンタビリティとは、公的統制モデルに基づくアカウンタビリティとして理解されている。 (2)自己点検・評価を求める動向は、一般に公的統制モデルに基づくアカウンタビリティ要請と理解されているが、専門職的モデル、つまり専門職が専門職として自ら果たすべき責任として理解することが可能である。 (3)学生による授業評価は、公的統制モデルとしてより、パートナーシップ・モデルあるいは市場機構モデルに基づくアカウンタビリティ要請と理解することが可能である。 (4)市場機構モデルに基づくアカウンタビリティ要請は、日本の高等教育制度の下ではすでに受験システムとして機能している。
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