研究概要 |
以下の3つの研究を行なった。 1.平面的グラフ,つまり平面R^2に埋め込み可能な有限グラフGのR^2への連続写像で一般の位置にあるもの,つまり多重点が辺による横断的な2重点のみであるもので,Gの空間R^3内へのアンビエント・アイソトピーの範囲で自明な埋め込みの正則射影としては実現されない例が存在することを示した。この結果は早稲田大学理工学部の塚本達也氏によって次の様に一般化された。平面的グラフの空間への埋め込みG≦R^3を1つ固定したとき、ある平面的グラフとそのR^2への一般の位置にある連続写像が存在して,それを正則射影として実現する全ての空間に埋め込まれたグラフはGとアンビエント・アイソトピックな部分グラフを含む。 2.有限グラフGの空間R^3への2つの埋め込みがホモロガスになるための必要十分条件はそれらのWu不変量が一致することであることを示した。ここで2つの埋め込みがホモロガスであるとは、Gと単位区間の直積に可向閉曲面を連結和したものからR^3と単位区間の直積への埋め込みの両端となりうることをいう。またWu不変量は絡み数を一般化したもので2点の配置空間の2次元コホモロジーによって定義される。 3.有限グラフGからn次元ユークリッド空間E^nへの連続写像fが折線状であるとはGのある細分G′が存在してfがG′の各辺を線分にうつすときをいう。このときfの全曲率を隣接する2線分の曲がった角度の総和と定義する。この定義のもとで、Gの全曲率には下限があることを示し、いくつかのGについて下限を与えるfを決定した。これらの結果はユークリッド空間内の微分可能閉曲線の全曲率に関するFenchelの定理を一般化するものとなっている。
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