研究概要 |
ハミルトン系の周期解,ホモクリニック解および非線型楕円型方程式の解の存在問題を変分的手法により研究し,次の研究実績をあげることができた. 1.特異なハミルトン系に対する周期解の存在問題は,従来2体問題に関連したラグランジュ系に対してのみ考察されていた.本研究においては,より一般的なハミルトン系で特異点をもつものに対して周期解の存在を考え,ミニマックス法と有限次元近似をあわせて用いることにより,特異なハミルトン系のクラスで周期解の存在が保証されるものを得ることができた.近年,ハミルトン系の周期解の存在問題はsymplectic幾何学の視点からも重要であることが認識され,盛んに研究が行われている.特異なハミルトン系に対してはenergy surface{(p,q);H(p,q)=h}はnon-compactとなり,non-compact集合に対してsymplecticな不変量を導入する問題と密接に関連するものと思われる.この関連を研究するため現在prescribed energy problemを初めてとして研究を続行している.また特異なハミルトン系に対する周期解の多重性も重要な問題である.この問題についても現在研究を続行している. 2.ホモクリニック解の存在については,non-compactなリーマン多様体上である種のラグランジュ系を考え,ミニマックス法により,その存在を得た.この結果はR^Nの場合であっても,ホモクリニック解の新しい存在結果を与えていると思われる. 3.非線型楕円型方程式に関してはR^N(N【greater than or equal】3)上でΔu+K(|x|)u^<(N+2)/(N-2)>=0を考察した.この方程式は微分幾何学における山辺の問題と関連した重要な方程式である.ここでは特に球対称解u(|x|)の存在を考察し,変分的手法により,その存在を非常に一般的なK(|x|)に対して示した.従来,球対称解の存在問題はシューチング法で扱われることが多いが,変分的手法を導入することによりより一般的な存在結果を得ることができた
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