研究概要 |
グルタミン酸輸送蛋白は4種のサブタイプがクローニングされた。そのうちの一つであるヒトグルタミン酸輸送蛋白hGluT-1のcDNAのクローニングを行ない、FISH法を用いてhGluT-1遺伝子の染色体上の位置を5p13に同定した。さらに筋萎縮性側索硬化症において減少がしられているグルタミン酸輸送蛋白のサブタイプGLT-1に関してもクローニングを行い、その染色体部位を11p11.2-p13に同定した。両遺伝子の染色体部位は、遺伝性筋萎縮性側索硬化症の遺伝子座の候補として注目されている。またクローン化したcDNAを用いて、ヒトの脳および末梢臓器においてRNAブロッテングをおこない、グルタミン酸輸送蛋白のmRNAはサブタイプによって分布があきらかにことなり、GLT-1が脳に特異的に発現することを明らかにした。 またクローン化したhGluT-1を細胞に導入して発現させ、薬理学的実験をおこない、extended-formのL-CCGI,IIがグルタミン酸取り込み阻害作用を持たないのに対し、folded-formのL-CCGII,IVがグルタミン酸取り込み阻害作用を持つことをあきらかにし、グルタミン酸がfolded-formをとって取り込まれていることを示した。さらにパーキンソン病の治療薬であり、ドパミン受容体のアゴニストであるブロモクリプチンが、ヒトグルタミン酸トランスポーターhGluT-1の活性を上昇させることを見出し、グルタミン酸トランスポーター作働薬が神経細胞死を防御する可能性を指摘した。
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