研究課題/領域番号 |
08223224
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝至 広島大学, 理学部, 助教授 (00192617)
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研究分担者 |
藤田 敏三 広島大学, 理学部, 教授 (20004369)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 近藤半導体 / 近藤半金属 / 擬ギャップ / CeNiSn / 比熱 / 状態密度 / 新金属 |
研究概要 |
固相電解法を用いた試料の純良化により、低温において金属的な伝導を示すようになった単結晶CeNiSnの比熱を、0.1〜4Kの温度範囲では5 Tまでの磁場を、2〜20 Kの温度範囲では14 Tまでの磁場を印可して測定した。磁場は、CeNiSnの磁化容易軸方向およびそれと垂直の方向に印可した。 2〜20 Kの温度範囲で測定した結果の解析から、低温におけるCeNiSnのフェルミ準位付近の状態密度は、近藤共鳴によるロレンチアン型の増強された状態内部にV字型の擬ギャップ内に残留状態密度を有する構造を持つことが明らかになった。同一のモデルを用いると、磁場を磁化容易軸方向に印可したときの磁化率の温度依存性も説明できることが分かった。 上記の結果は、低温におけるCeNiSnの電子基底状態の本質が、金属的伝導を示すシェルミ準位極近傍の残留状態にあることを示している。この性質を調べるため、0.1〜4Kの温度範囲で測定した結果を解析した。零磁場の結果からは、残留状態密度は電子エネルギーに対して一定ではなく、フェルミ準位で小さなピークを持つことが分かった。磁化容易軸方向に磁場を印可した結果からは、磁場を強くするとともにピークは消失し、更に強い磁場ではフェルミ準位における状態は減少することが分かった。ところが、磁化容易軸と垂直な方向に磁場を印可した場合、14 Tまでの磁場では、状態密度が全く変化しないことが分かった。このような、金属状態はこれまで報告された例が無く、CeNiSnの電子基底状態は我々がまだ知らない新奇の金属であることが分かった。
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