研究概要 |
最近,本研究代表者を中心とするグループでSIMSの発展型である同位体顕微鏡の開発が進行しつつある.同位体顕微鏡とは同位体比組成の分布をミクロンオーダーの空間分解能で観察できる分析装置である.開発中の同位体顕微鏡は負重イオン源+二次イオン質量分析装置+二次元イオン検出装置からなるシステムをもつ.本申請は同位体顕微鏡システムをさらに発展させることにより,地質学的試料中に保存されている同位体比の縞縞の読み取りを目的とする.本申請期間内に明らかにしたい点は:独自に開発した同位体顕微鏡を用いて天熱物質中の同位体比の空間変動を実際に読みとり、解読することにより、全地球史解読の新手法の有効性と証明する。この独創的な装置を縞縞解析に適用することにより,ジルコンの結晶成長年輪や貝殻・有孔虫・ストラマトライトの酸素同位体変動の連続的な分布を測定できるようになるものと予想される.この結果は,地殻のリサイクルの速度や過去の気候の季節変動を定量的に読み取る方法を確立する基礎研究となる. 本年度行った研究は以下の通りである。 1.負重イオン源の改造。 2.AMIのイオン粒子に対する基礎的特性の評価。 3.本装置を縞縞解析に適用のための,ジルコンの結晶・貝殻・放散虫・ストラマトライトのサンプルを同位体顕微鏡で検鏡できるように加工。 4.ジルコン結晶のゾーニングがSIMSにより分析することにより各ゾーンの晶出年代を求めその拡散プロファイルを解析することにより地殻の上昇過程とジルコンのリサイクル過程の定量化。
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