研究概要 |
バーチャルリアリティ(VR)の実現にはヘッドホンとHMD(Head Mounted Display)を用いることが多いが,HMDは装着にともなう圧迫感および受聴者の動きに応じたシステムの修正など問題も多々ある. 音場の再現を目指した国内の研究は古くはNHKの牧田康雄,早大の伊藤 毅らによる立体音響再生に関する研究,東京電気大学の三浦種敏らによるOSSやNTTの金田 豊,三好正人らによるMINTを使ったトランスオーラル系に関する研究,米国ではNASAはじめ多くの研究機関で,ヨーロッパではRuhr大学のBlauertらにより両耳受聴,再生システムに関する研究が1960年代から行われている. 本研究は理論的には確立していたが膨大なハードウェア規模と制御系の制約から実音場への適用が全く試みられていなかったキルヒホフの境界面積分に基づく波面合成法による音場制御を,新たに開発した呼吸球音源対と高速1bit処理による制御系により実現しようというものである. 本年度は (1)平成7年度の研究結果に基づき無響室において26チャンネルによる制御実験を行ない,近接4点法により再現音場を評価したところ初期の目的を達していることが確認された. (2)平成7年度に購入したワークステーションを用いて高速1bit信号処理による制御LSIを設計を行なった. (3)多点音場制御システムを構築し,現実的な使用条件を想定して聴感的特性を含めた音場制御システムの性能評価を行い,バーチャルリアリティへの適用の可能性を検討した.
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