研究分担者 |
大野 浩司 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20252570)
山根 宏之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10230517)
村上 順 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90157751)
宇野 勝博 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70176717)
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研究概要 |
当該研究においては,有限半順序集合の組合せ論に現代代数学の抽象論を多角的に応用する際の,基礎となる理論を構築することを目的とし,有限半順序集合の理論において,伝統的かつ主流な話題である(1)鎖の数え上げ理論および(2)比較可能グラフの離散構造を,抽象代数の現代的理論を武器として探究した.当該研究の顕著な成果は,「階数d-1の有限モジュラー束が階数3の原子部分束を含むとき,その比較可能グラフはd-連結である」を証明したことである.我々の証明を遂行する際の鍵は,(あ)単体的複体のホモロジー論を経由することで,有限半順序集合の比較可能グラフがd-連結であるか否かは,付随するStanley-Reisner環の次数付ベッチ数列の最後の項の情報で判定できるという事実とともに,(い)有限モジュラー束Lに付随するStanley-Reisner環のベッチ数列の最後の項は,Lのメビウス函数を使って表示することが可能であるという点である.その他,当該研究では,トーリック多様体の幾何における周知の事実を巧妙に使って,比較的単純な組合せ論的構造を有する有限分配束のh-列が単峰数列であることを示した.現代代数学の昨今の動向から判断すると,鎖の数え上げ理論,あるいは比較可能グラフの研究等に抽象代数の現代的理論が有効であることに疑問の余地はないものの,研究を推進させるための基本的な骨格が整備されているとは言い難かった.当該研究では,多項式環のイデアル論における最近の成果を踏まえ,代数的な視点から有限半順序集合の概念を捕え,古典的な組合せ論では到底得られなかった著しい結果に到達し,将来に展望を齎す一歩を得た.
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