研究概要 |
本研究では、超音波法およびMRI法によって得られる2次元的な組織断面像から筋および筋束の3次元的配置に関する情報を得るための方法について検討した。また、収縮中の筋形状に変化を人間生体において実測した。はじめに、Bモード超音波装置(SSD-2000,Aloka,Japan)の探触子に空間位置計測置(Isotrak,Polhems,USA)を装着して探触子の3次元位置を計測するシステムを構築した.その後、システムの精度や測定の再現性が良好に保たれる空間範囲を同定した。次に、このシステムを用いて、下腿三頭筋のうち腓腹筋内側頭について超音波組織断層像を得た.測定点は筋全体にわたるように複数点設けた.画像をコンピュータに取り込み、各点における筋束の3次元的な配置を計測した.一方、超音波測定時と同一の条件で下腿の連続組織横断画像をMRI装置を用いて求め、腓腹筋内側頭の外形および筋、腱、腱膜の3次元位置をコンピュータ上で求めた.これらのデータより、筋の立体的な形状(筋束配置)を求め、筋内各部の筋束の長さと深部腱膜に対する角度(羽状角)および筋体積などを求めた.その結果、筋内における筋束の配置が明らかになった。筋束は遠位・深部から近位・表層部に向かって斜めに配列しており、羽状角は筋腹中央ほど高く、周辺部は低くなる傾向であった。筋束長はぞの部分でも一定であり、有意差は認められなかった。得られたデータより、筋内のストレス分布は筋腹中央部を頂点として周辺部にいくほど減少することが明らかになった。この配置は筋の安静時と活動時で大きく異なり、特に膝関節角度の影響が大きいことがわかった。膝関節角度が45°以上に屈曲した場合、筋束はほとんどslackな状態になり、足関節角度を変えても筋束長はほとんど変化しなかった。また、筋活動時の羽状角は筋腹中央部で70°近くにまで達した。
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