研究課題/領域番号 |
09470115
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉澤 浩司 広島大学, 医学部, 教授 (30109954)
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研究分担者 |
守屋 尚 広島大学, 医学部, 講師 (40243563)
中西 敏夫 広島大学, 医学部・付属病院, 助教授 (20136089)
田中 純子 広島大学, 医学部, 講師 (70155266)
濱本 嘉昭 広島大学, 医学部, 講師 (90238080)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | HCV / HCVキャリア / HCV抗体陽性率 / HCVスクリーニング / 肝がん肝炎検診 / HCVキャリア数 |
研究概要 |
平成9〜10年度に、下記の項目について調査・研究を実施し、総括した。 1. 健常者集団内におけるHCVキャリア数の推計 広島県赤十字血液センターにおける'92年2月〜'95年1月の調査期間内の個人の重複を取り除いた資料(158,048例)、無作為に抽出したHCV抗体陽性者における抗体力価別のHCVRNA腸性率および国勢調査推計人口('94年)をもとに、県下の20歳〜64歳の対象人口173.1万人中HCVキャリア数は2.4万人と推計された(男性:85.6万人中1.3万人、女性:87.5万人中1.2万人)。 2. 一般健常者集団内に潜在するHCV持続感染者の病態解析 '92年8月〜97年11月の間に献血時に見出されたHCVキャリア(延べ3,366例)中診断が確定した1,050例のうち920例を対象とした。初診時の臨床診断が「正常」とされたものは、男性438例中111例(25.3%)女性482例中208例(43.2%)、「慢性肝炎」とされたのは男性320例(73.8%)、女性270例(56.1%)であった。 3. 一般健常者集団内に潜在するHCV持続感染者の病態の経時的変化の解析 献血時に発見されたHCVキャリアのうち、'93年と'97年の時点における診断が確定している211例について検討を行った。'93年の時点で慢性肝炎と診断された154症例の中から、4年の経過で肝細胞癌へと進展した2例(1.3%)、肝硬変へと進展した4例(2.6%)が見出された。また、血液生化学的検査、画像診断による「異常なし」54症例中16例(29.6%)が慢性肝炎へと進展していた。次に、HCVキャリア218例のウイルス量(coreproteinの定量)の分布を解析し、(HCVgenotype)II/1b群は広い範囲に、III/2a群ではやや低値に、IV/2b群では高値に分布する傾向が認められた。この成績はHCVキャリア群の中に占めるインターフェロン治療適用例の比率算出のための基礎的資料となる。 4. 保存血清を用いた,高度浸淫地区におけるHCV感染状態の解析 '92年〜'97年までに県内17市町村(HCV感染の高度浸淫地区)において受診した40歳以上の住民10,754人(延べ18,096人)を対象に、HCV抗体陽性率及び高力価占有率を測定した。HCV抗体陽性率は9.5〜10.7%であり、このうち74.2%は抗体力価2^<13>PHA価以上を示した(HCVキャリア)。まだ今まで知りえなかった70歳以上においてもHCV抗体陽性率は高い値を示していることが判明した。また、高力価占有率は40歳以上では7割を超えることが注目された。 5. HCVキャリアを確実に発見するための検査法の確立 以上の結果をもとに、ほぼ100%のHCVキャリアを捉えることを実証した、簡便、かつ安価な検査方式を確立し、肝細胞がんの好発年齢に近づく40歳以上の地域住民を対象とした肝がん、肝炎検診の基本検査に取り入れていくことを提言した。
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