研究概要 |
本研究では,生体のインプラント周囲骨構造を反映する三次元有限要素モデルを新たに開発することを目指した。さらに,同モデルと従来のモデルの応力分布を比較することで,新モデルの有用性をも明確にしようとした。 ニホンザル下顎のインプラント周囲骨の三次元コンピュータグラフィックス(3D-CG)を基に,その基本構成単位である75μmの立方体4ラ4ラ4個を1辺300μmの立方体要素に変換した。その後,各立方体要素を変形させることで,インプラントおよび周囲骨の形態を3D-CGに近づけた新しいモデル(形態近似モデル)を作成し,これらの形態を3D-CGと比較した。次いで,3D-CGの一部分のみを用いて75μmの立方体要素で構成されたモデル(対照モデル),ヤング率を骨体積率によって変化させた300μmの立方体要素で構成されたモデル(数値近似モデル)および形態近似モデルを作成し,これらのモデルにおいて応力分布を比較した。次いで,3D-CG全体から,海綿骨部分を均質で柔らかい要素で満たしたモデル(従来型モデル),数値近似モデルおよび形態近似モデルを作成し,同様に応力分布を比較したところ,以下の結果を得た。 1. 新しい方法によりインプラント-骨界面構造をよく再現したインプラント周囲骨の三次元有限要素モデルを作成することができた。また,形態近似モデルにおける応力分布は対照モデルの結果とよく近似した。 2. 従来型モデルではインプラント頸部に応力が集中し,数値近似モデルではインプラント周囲にほぼ均等に応力が分布したが,新しい形態近似モデルではインプラント頸部,底部および骨梁の細い部分に大きな応力が生じていた。 以上のことから,生体のインプラント周囲骨構造を反映する新しい三次元有限要素モデルが開発できたこと,また,同モデルと従来用いられてきたモデルとでは応力分布に明らかな違いがみ〓
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