研究課題/領域番号 |
09710188
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村澤 昌崇 広島大学, 大学教育研究センター, 助手 (00284224)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 学歴 / 個性化 / 多様化 / 学歴社会 / 学歴主義 / 社会意識 / 実力主義 / 企業 / 学歴意識 / 学歴観 / 社会階層 / 社会移動 |
研究概要 |
平成9年度、平成10年度と2年に渡って個性化・多様化と言われる時代における企業の学歴観・賃金評価に関する研究を展開してきた。実際には都市部・郊外部2地区からランダムサンプリングにより合計2500名の調査対象者を抽出し、「職場の就職・昇進・昇給・人事において何が重視されているか」「日本社会において学歴・収入・社会的地位・近所の評判・会社や組織内での地位・本人の仕事などが何によって決定されるか」などを中心に、職場における処遇の公平性、大卒学歴観、本人の社会階層と社会移動を把握するだめの諸指標や、生活スタイル、学校観などをアンケートにより尋ねた。結果を概観すると、少なくとも人々の意識レベルでは、概ねどの職場においても就職・昇進・昇給・人事において「肩書きとしての学歴」「実力としての学歴」はともに影響力を持っていないと評価されている。特に昇進や昇給の面では「仕事の出来映え」など実力主義的評価がなされていることを指摘する声が多い。しかし一方で昇給の面では依然「勤続年数」が基準となっていることを指摘する声も多い。また、日本社会一般における収入や会社・組織内の地位についても「学歴によって決定される」と答える人は少ない。また本人の現在の仕事に必要なものとして「学歴」をあげた人は、2〜3%程度でしかない。このように職場や社会全般における学歴のウエートは相対的に低いものであると人々には評価されている。しかし一方で依然として社会移動における本人の学歴の効果はある程度認められ、学歴だけにとらわれない多様な評価基準を求めつつも、現実的には依然学歴や日本的雇用慣行に縛られているという錯綜した状況に直面している現代人の有様を描写することができた。このように現代日本の職場や社会における学歴の扱われ方は意識と現実との微妙なズレを孕みつつ、未だその在り方についてあらためて考える「前」の段階にあるのかもしれない。
|