研究概要 |
(1) 研究の目的 酸触媒存在下でシクロアルカノンと過酸化水素との縮合反応で容易に合成できる1,2,4,5-テトロキサンが顕著な抗マラリア特性を示すこと着目し、我々はオゾン酸化を基礎に置く非対称テトロキサン及びその類縁体である1,2,4,6,7-ペントキソカンの新規合成法を開発するとともに、その抗マラリア特性を明らかにすることを研究の目的とした。(2) 今年度の成果及び考察 ( ) 環状過酸化物の新規合成法 ビニルエーテルのオゾン酸化をエーテル中過酸化水素存在下で行った。その結果、対応するビス-ヒド口ペルオキシドが良い収率で得られた。このビス-ヒドロペルオキシドをトリメチルシリル化した後、ケトンとの酸触媒縮合反応を行ったところ、目的とする非対称1,2,4,5-テトロキサンが、低収率ではあるが確かに単離された。(ii) 抗マラリア特性の評価 合成した1,2,4,5-テトロキセパンおよび1,2,4,6,7-ペントキソカンについて、岡山大学綿矢教授との共同研究で標記特性を明らかにした。その結果、いくつかのテトロキサン誘導体は10^<-7>Mの濃度でマラリア原虫に効果的に作用すること、その選択毒性は100倍以上と極めて高いこと、をそれぞれ見い出した。そこで、これらの化合物についてin vivoでの検討を行っていただいたところ、複数の化合物がキニーネに匹敵する抗マラリア薬理活性を示した。
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