研究概要 |
本研究が目指した目標は,物質の基本量を,低温・強磁場・高圧およびそれらを組み合わせた複合極端条件下で測定する実験技術を確立して,それを強相関fおよびd電子化合物の異常な性質を制御し,また,電子論的観点から異常特性の理解することである。本研究を実施した3年間に,関連する研究も含めて計34編の論文を公表した.以下にその概要をごく簡単にまとめてみる。 1) 整備できた実験技術は,12Tまでの磁場中で,15mKの体までの広い領域で,電気抵抗磁化率の測定。14Tまでの磁場中で60mKの低温までの比熱および弾性率測定。最高8GPaの圧力をかけた状態で最低1.5Kまでの低温で電気抵抗測定。さらに,3つの極端条件を組み合わせて,温度100mK,磁場8T,圧力2GPaの条件下で比熱・電気抵抗の測定が可能となった。 2) これらの条件下のもとで,次のような物質の研究を行った。 f電死刑化合物:CeSb,CeRu_2,CeFe_2,CeTe_2,LuB_<12>,CeNiSn,Ce(Ni,Cu)Sn,YbPtSn Upt,UNiSn,UNiAl,UirGe,URhGe,UCu_2Sn d電子系酸化物:La_<1-x>Sr_xCuO_4,La_<2-x-y>Nd_ySr_xCuO_4,Sr_2RuO_4,Sr_<3-x>Ca_xRu_2O_7 3) これらの物質は多様で個性的な性質を示す。観測した秩序状態は次のとおり。反強磁性,強磁性,2次元d波超伝導,p波常伝導,フェロ的四重極子秩序,アンチフェロ的四重極子秩序,価数転移と価数揺動状態等々。
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