研究課題/領域番号 |
10710069
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 追手門学院大学 (1999) 愛知学泉女子短期大学 (1998) |
研究代表者 |
杉村 和美 追手門学院大学, 人間学部, 講師 (20249288)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 青年期 / アイデンティティ形成 / 関係性 / 性差 / 男性と女性 |
研究概要 |
本研究の目的は、青年がアイデンティティを探求し、決定する上で、他者との関係性がどのような役割を果たすのかを明らかにすることであった。特に、男性と女性の共通点と相違点を検討した。昨年度までに大学3年生女子35名、今年度は大学3年生男子31名に対して面接調査を行った(有効データ:女子33名、男子26名)。男子の有効データ数が少なかったため暫定的ではあるが、以下の2点が明らかになった。 1.アイデンティティ探求における関係性には、6つのレベルがあった。これらは、自己と他者の視点をまったく認識できないレベル(レベル1)から、自己と他者の視点間の食い違いを相互調整によって解決するレベル(レベル6)までである。これらのレベル間の構造と頻度には、大きな性差はなかった。したがって、男性と女性は同じ関係性(つまり、自己と他者の視点の認識のあり方)を用いてアイデンティティ探求を行うといえる。 2.男性も女性も、高いアイデンティティ・ステイタス(達成・モラトリアム)の者は高いレベルの関係性(レベル4〜6)、低いアイデンティティ・ステイタス(早期完了・拡散)の者は低いレベルの関係性(レベル1〜3)を用いて探求を行っていた。このことから、関係性は、これまで指摘されてきた女性においてのみではなく、男性のアイデンティティ形成においても重要な役割を果たすことが分かった。 以上の結果は、アイデンティティは、単に他者から分離することによってではなく、他者との結びつきの中で形成されるという最近の考え方を支持する。また、性差が見られなかったことは、男性は女性に比べて他者から分離した形でアイデンティティを形成するという従来の知見を再考させるものである。今後は、対象者と指標を追加し、関係性の重要性と役割が男性と女性とまったく同じであるのかどうか、さらに踏み込んで検討することを計画している。
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